県立オペラ新喜劇 ー 湯川カナ(広報官)のハジメマシタ 01

魔弾の射手 佐渡裕

 

【ドイツ語のオペラ】って、もう、なんか字面から高尚すぎる! 観たこと、これまでありません。でも、お誘いいただいて、腸に詰められるソーセージくらい、勇気ふりしぼって入ってみました。

ゲイブンセンター。
兵庫県立芸術文化センター、略して芸文センター。
もっと略してゲーセン。……とは、いいません。

 

いわゆる、オペラ観るやつ!

この日は年間で最高のプログラムのひとつ、芸文センター芸術監督・佐渡裕(ゆたか)さんに指揮の作品。
年齢層はやや高めの、たくさんの観客が、
すこし着飾ったり、あるいは意外と普段着だったり、
女性のお友達連れだったり、男性ひとりだったり、あるいは女性と男性のカップルだったり、
みなさん「ルンルン」というかんじのワクワク顔で、笑いさざめきながら、劇場入口に吸い込まれていきます。

重いドアをふたつあけると、わ、オペラ!
四方を囲む、堅く良質そうな木の空間。観客席にはぐるりと、なんか貴族とか来そうな、4階建てのバルコニー席。
深紅のびろうど(?)の座席に、ひとがどんどんおさまっていきます。
わー、いわゆるオペラ観るやつ、これ!!

 

すまねえ、庶民で。

そして、はじまるオペラ。はじめてのオペラ。
目の前、ほとんど見えないくぼんだところ(佐渡さんの後頭部だけチラチラ見える)で、オーケストラの生演奏。ぜいたくだねえ。
ドイツ語の重厚な響き。左右に字幕。大勢のキャストが目の前で繰り広げる、圧倒的なお芝居にコーラス、圧倒的な熱気!
怖い、ところは、怖い。
可憐、なところは、可憐。
悪魔がでてくるところは最新技術もつかって、もうUSJばり! うーむ、ぜいたくだねえ。

それなのに、ああこんなぜいたくな空間で私ったら、この日結局最高の演技をして拍手喝采鳴りやまぬ、ヒロインの従姉妹のくるくる動く女の子が登場したシーンで、なんというか、「吉本新喜劇のすっちーみたい!」って思ったり……。

あるいはクライマックスに出てきて、泥沼の物語に救いを与える隠者役の男性が出てきた瞬間、「わ、吉本新喜劇の辻本(※茂造じゃないとき)みたい!」って思ったり……。

 

すまねえ、庶民で。この贅沢な空間で、失礼極まりない、私。
びろうどの席で小さくなっていたのですが、でもね、どうも、「それでも良い」らしいようです。

 

 

兵庫県芸術文化センターの思い。

阪神・淡路大震災後に、地域のひとびとに心の豊かさを提供するためにつくられた、芸文センター。
復興のなか、音楽や芸術がいかに被災者を力づけてきたかを現場で感じてきたからこその、計画だったといいます。

つくりたかったのは、地域の文化。そして、豊かな文化を支える、次世代。

  • だから、佐渡裕さんは、はじめてオペラに触れるひとたちのために、現代風のアレンジなどしない、本物の、良質のオペラをよりすぐって上演することに決めました。
  • そして、専属オーケストラは、世界中でオーディションをした35歳以下の若いメンバーに限り、かつ在籍は最長3年としました。
  • ついにスタートするときには、佐渡裕さん自ら地域の商店をまわり、劇場の説明をしてまわりました。
    なぜなら、どんな一流のプログラムをもってきても、地域から愛されない劇場は成立しない、と、本場を見てきた経験から深く感じていたからです。

 

出がけに、ちょっとだけおしゃれして。

ということは、私みたいな、「うわ、オペラとか、おっかなーい!」と尻込みしちゃうひとが、ある日、「そうだ、オペラ、行ってみよう!」と思いついたときに、出がけにちょっとだけおしゃれして(素敵なピアスをするくらい)行ってみる近所の劇場、で、正解なのかもしれない。

吉本新喜劇みたいに、ハラハラしたり一緒に怒ったり笑ったり、人間の弱さや愚かさに絶望したり、でも訪れる大団円にいろいろ思い出を重ねてちょっと泣いたり。

 

それをつくるのは、圧倒的な音楽。圧倒的な演技。圧倒的な演出。本物の、芸術!

うーむ、地域でこんな体験ができるなんて、ぜいたくだねえ。
本当に、本当に、楽しかったよ!

 

 

<Data>兵庫県立芸術文化センター

阪急西宮北口駅から南へ、徒歩2分。
モダンな建物がつくる日陰で、若者たちがダンスをしたり歌を歌ったり。
まるで外国のような光景は、「劇場はみんなの広場」というコンセプトの現れ。

年間プログラムは本場オペラから、そのワンコイン解説、各種コンサート、落語まで、めちゃめちゃ多岐にわたる。
また、スーパーキッズ・オーケストラや、兵庫県下の全中学1年生を対象にした「わくわくオーケストラ教室」など、音楽による次世代育成拠点ともなっている。

わくわくオーケストラ 兵庫県立芸術文化センター

 

北海道の旭山動物園、石川県の金沢21世紀美術館とともに、「成功した奇跡の3大公立施設」として称されることもある、というウワサ。

併設レストランも、なんとなくテンションあがります。

 

 

お問い合わせ

記事についてのより詳しい情報や、画像の提供、転載等についてのお問い合わせはこちら。

なんでも聞いてね。