すすめられたら、行きますか?|vol.011

広報専門員の清水奈緒美が、疾病対策課で「がん検診」等を担当する福岡真実さんにお話を伺いました。

「がん」について、どれくらい知識をお持ちだろうか。2人に1人はがんになる、女性特有のがんは若いうちから発症しやすい、がんの約6割が治る…。兵庫県に関する統計で衝撃的なのが、県の検診受診率の低さ。特に、胃・肺がん検診率は全国42位という不名誉な数字である。「兵庫というより関西全体で受診率が低いが『自分だけは大丈夫』と思ってほしくないですよね」。そう話すのは、同課の福岡真実さんだ。

「がん対策推進本部」を設置。しかし…

この春、県では「がん対策推進条例」が新たにでき、「兵庫県がん対策推進本部」を設置した。予防、早期発見のための検診促進、医療体制、がん教育など総合的にがん対策に取り組む。福岡さんは「がん・難病対策班」という、言葉だけ見るとコワーイ班で、検診促進のための助成事業や、各市町によって検診結果にばらつきがないかなどの管理を行う。また、中小企業の従業員になるべく低負担で検診を受けてもらえるよう、企業に助成する事業では、これまで4000人を超える人が受診に至った。「なのに、依然、受診率が低いんです。でも、幸い兵庫には県立がんセンターをはじめ、小児がんや最先端がん治療施設など専門的な機関がそろっているので、受診率が低いのに死亡率は高くないのは、そのためもあるかもしれませんね」と福岡さん。

今、がんは長く付き合う病気に。

さらに、今年から、がんで休職せざるをえなくなった社員の代替社員の賃金などを補助する事業も始まった。全国的にみても、極めて先進的な取り組みだという。「以前なら、職場に迷惑がかかるという理由で退職をする人が多かったんですが、今は、治療をしながら仕事を続けたりと、がんは長く付き合う病気とされているんです」。そのための助成事業だ。とにもかくにも“早めの検診”が鉄則だが、「早期発見が大事」なんて、みなさんも耳にタコができるほどお聞きだと思う。では、がん検診ってどこで受けるのか?勤務先によっては職場でがん検診を受ける方法や、各市町が行うがん検診を受診するという手がある。もちろん医療機関で受診する方法もあるが、その場合、基本的に全額自己負担だ。「病院はなにかしらの自覚症状があってかかりますが、なんの自覚症状がなくとも受けていただきたいのが“がん検診”です。健診=健康診断ともちがう。だから、がん検診は“検診”の字を使うんです」

 

祖母の死もありました。
“担当者だから”ではなく、心の底から、がん検診をすすめたい。

福岡さんは、同班に所属して3年目。異動先を知った時は、「え!私が?健康福祉部のなかの、疾病対策課のなかの、がん対策担当?!」と思ったという。その思考は分からなくない。「健康福祉という事業柄、どんどん変わる社会状況には新規の事業で応じていかないといけないんです。でも事業数は増えても減りませんからね(笑)」。そう笑顔で切り返すが、「当の担当者の福岡さんが、まさかのがんになったら笑い事ではないな」と一瞬思った。「実は、私も同じこと思いました」。…え?「忙しいからとかではなくて(笑)、実際に闘病されている方たちの話を聞くと、『風邪なんてひいたことない人が、がんになった』とか、本当に誰がいつなるか分からないなと思ったんです」と福岡さん。さらに、今春、福岡さんは、がんで祖母を亡くされた。「人生で一番悲しかったです…。本当に人ごとじゃぁないんですね。私、みなさんに『検診受けましょう』と言う立場ですが、なんというか口だけではなくて今、本当に受けてもらいたいと思ってます」。

福岡さんのお話を聞いて、市から案内されていた子宮頸がんの検診を受けなかったことが、チクリと悔やまれた。自分の体のためなのに、なんで私、受けに行かなかったんだろう…。「案外、家族や友人、職場の仲間‥人の体のことは心配するのに、自分のことは後回しですよね。なら、検診の呼びかけも、『検診を受けよう』ではなく『大事なあの人の体は大丈夫?』と、人にすすめる方が、言われた方は「検診、行ってみよう」ってなるかもしれないですね」。そう福岡さんに言うと、同じ感覚があったらしい。「祖母の死があって、私も『どこで受診したらいいか分からない』という両親に、私が病院を予約して行ってもらいました。特に専業主婦の方は、会社で受ける機会もないので、旦那さんからもすすめてもらって、積極的に受診してほしいんです」。

みなさんは、夫、妻、子どもさん、友人‥身近な人からすすめられたら、検診に行きますか。もし、そうなら、「がん検診ちゃんと受けてる?」、大切なあの人に聞いてみませんか。

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