こどもたちが、『自分たちのことだ!』と思ってもらえるように。

兵庫県には、県を紹介する小学生向け冊子があり、県庁見学に来る小学校3・4年生に渡されています(県のウェブサイトからダウンロードも可能)。

 

令和2年度、この冊子が全面リニューアルすることに。

「こどもたちが、『自分たちのことだ!』と思ってもらえるように変えたい」という兵庫県広聴課の熱い思いに応えて、県内に住むふたりの女性が、制作協力に名乗り出てくれました。

神戸市に住む川嶋杏子さん(43歳/写真・右)と、芦屋市に住む宮本亜季さん(41歳/写真・左)です。

 

川嶋さんは、フリーランスのデザイナー。出生時から病気を抱え、度重なる手術をしながら学校に通う小学校2年生のお嬢さんに寄り添いながら、在宅で仕事中。

宮本さんは、フリーランスの編集者。ふだんは大阪で親子向け公演の企画や広報も行っていて、年間16,000人以上の親子とかかわっています。

 

■「じゃ、今度のお休みに、みんなで行こっか!」

 

ふだんから、デザインを通した先のユーザーが、どう感じて、どうアクションを起こしてくれるのかを重視する、という川嶋さん。

 

今回も、県庁見学に来た小学生が「わあ!」と楽しみ、帰宅後の夕ご飯でお父さんやお母さんに「ねえねえ、知ってた?」と話し、そこから家族みんなで「じゃ、今度のお休みに、みんなで行こっか!」と会話が弾む、そんな光景をイメージしながら作っていたそうです。

 

こどもたちが喜ぶデザインになるかどうかは、当のこどもたちに聞くのがいちばん! と、小学校4年生の甥っ子の授業参観に顔を出したりもしました。

そして、いちばんの「ユーザー」は、小学校2年生のお嬢さん。週末も在宅でデザインする川嶋さんのパソコンを覗き込んでは「タコ、かわいー!!」 違うページでもタコを発見しては「タコばっかりー! かわいーねー!」と喜ぶ様子に、飽きっぽいこどもでも楽しみ続けられるヒントを得たりしたそうです。

 

「実際に娘が使ってくれたら嬉しいな、家庭での楽しい会話のきっかけになったらいいな」という、母としてのまっすぐな思いが、温かくて愉快なデザインに詰まっています。

 

■宝さがしで「ワクワク」自分事に。

 

編集を担当された宮本さんは、「全16ページを、どうやって面白いストーリーにするか」に、頭を悩ませました。

 

ふだんからこども向けの企画や広報をしているので、どんなに内容が良いものでも、こどもたちがすぐに飽きてしまったり、興味をなくしてしまったりしまうことを、よくわかっています。

どうやったら、県の「産業」「地理」「歴史」「県政」……といった、ふだんこどもたちの日常からは遠いものを、ワクワクしながら楽しみ、自分事としてくれるだろう?

 

宮本さんは、何度も書店(図書館?)に通い、小学校中学年向けの絵本を何冊も何冊も読みました。ゲーム仕立てが良いかな? イラストのインパクト勝負!? 図鑑みたいなかたち?? ……結果、「宝さがし」を軸にすることに決定。

 

「冊子を見てもらうのではなくて、宝さがしに参加してもらう」「この本がきっかけで、どんどん自分で兵庫県のことを調べたくなる」 それが、宮本さんが描いたストーリーです。

 

■「使ってくれたら、うれしいな」

 

ふたりがつくったのは、これまでとはまったく違う、県の小学生向け冊子です。

 

☑ それぞれの項目に、「自分の土地のことを調べてみる」コーナーがある。

☑ 簡単なことから、難しいことまで、誰かに話してみたくなり、実際に行ってみたくなることが、宝物のようにちりばめられている。

☑ 県の年表に自分のことを書き入れる欄があったり、塗り絵をして楽しめるページがある。

 

すべては、こどもたちが使ってくれたらうれしい……という思いから。そしてそれは、つくっている自分たちにとっても、いちばんワクワクする内容でした。

 

「挑戦状!」が並ぶクイズのページをつくりながら、いままで知らなかった五国のことをたくさん学んでめちゃくちゃ親近感を持った、という、宮本さん。

タコや牛やカニと、播州刃物やチェーンや釣り針が混在する「産物」のページがどうやったら可愛くなるか、お嬢さんと相談しながら、カニに線香やマッチを挟ませた川嶋さん。

 

さらに、この小冊子発行を担当する広聴課のみなさんも、「一緒につくるところを体験できて、これまで仕事をしてきたなかでいちばん楽しかった!」「いままでみたいに、県庁内だけでつくっていたら、こういうのは絶対にできなかった」「自分が、校正してるのを忘れて『あ、ここにもタコ!』『ここに水分れ公園を出す!?』と楽しんじゃいました」と言われていました。(ちなみに最後のページには、広聴課のみなさんをモデルにしたキャラクターも登場します)

 

これから兵庫県の主役になっていく9歳・10歳のこどもたちのために、みんなでつくった『ひょうごパスポート』。

ちなみに、いま県庁見学に来られる小学校は、県内の約1/3。もし来られなくても、兵庫県を知るための教材として活用していただける内容になっていますので、ぜひダウンロードしてみてくださいね(※ダウンロードページは現在準備中。4月以降、更新予定。)。

 

さて、私も勉強しよーっと!

 

兵庫県庁WEBサイト『ひょうごパスポート』
■ 小学生向け郷土学習冊子

※3/19現在、2019年度冊子の閲覧が可能。本インタビューで紹介の2020年度版のダウンロードページは4月以降更新予定です。

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