行政だから、できる。

広報専門員の清水奈緒美が、障害福祉課で「東部リハ拠点整備」を担当する大喜多弘昌さんにお話を伺いました。

2020年2月、阪神尼崎駅直結のビルに開設された「県立障害児者リハビリテーションセンター」の診療が開始した。脳性まひ等で肢体不自由の子どもと大人に、診療やリハビリを行う医療施設だ。

 

開所式典の司会をさせてもらった私は、式典後に、ほっと一息つく大喜多さんにお話を伺った。

 

阪神間にリハビリ施設がほしい…

脳性まひなどでリハビリが必要な大人(この場合は18歳以上をいう)が通える医療機関は県内には少ない。阪神間では、約2千人の該当患者がいると見込まれているそうだ。今までは、大阪方面へ通院するケースも多かったが、4~5年前から「地元で通所できるところがほしい」との要望も。「特に、40代の方で『利用したい』という方も多くって。というのも、送迎するご両親のご年齢を考えると、やっぱり、遠方だと負担がありますよね」と大喜多さん。「『ただ箱を作ったらいい』というわけではなくって、専門のお医者さん、専門のリハビリを提供できる理学療法士(PT)さん、作業療法士(OT)さんに入っていただかなければ意味がない。ほかの病気やけがが理由のリハビリともちがいますし。そういうこともあって、今回はノウハウのある大阪の社会医療法人さんが指定管理で受けてくれました」。

 

施設ができた。だけでなく、リハビリ技能全体の底上げにも…

阪神地域での専門医療の提供ということ以外にも、このセンターに期待されていることは大きいそうだ。

「脳性まひは幼い頃に起こります。成長につれて、まひが原因で、けい椎や股関節が変形していくことがあるんです。その症状や、“できる”“できない”は年齢によってどんどん変わってくる。人によってもちがう。『いつの年齢なのか』『どういう状態なのか』『今後どう変わっていくのか』を見込んだうえでリハビリを提供しないといけないのが、むずかしいところなんです。

 

なので、脳性まひ等のリハビリの経験が少ないPTさんOTさんたちにも詳しくなってもらおうと今、県理学療法士会さんなどにお願いして、県内で研修を行ってもらってるんですよ。そうした地域の療法士さんとも連携して、定期的な通院が難しい人にもリハビリを受けてもらいたいと思っているんです。」と大喜多さん。

なるほど、そうしたリハビリ技能全体の底上げも期待されているのか。

 

必要だという理由で開所できるのは、行政だから

でも、もちろん、一番は患者さんやご家族からの期待だろう。「式典のテープカットにも参列してくださった、県肢体不自由児者父母の会の方からもさっき電話があったんです。『ほんとうにありがとう』って。娘さんのためにも、施設の設立は人生かけてされていて…」と大喜多さんは続ける。なにも、利用する患者数が多いとか、見込まれる効果が高いとかいうことだけが医療の全てではないということだろう。

では、どうして、これまで設立が叶わなかったのか。今の診療報酬の制度で、民間で同様のセンターを運営していくのは厳しいという背景があるそうだ。「本当は、民間ができることは民間でやってもらえたらいいんです。そういう私も、実は民間から県に入ってきたんですけどね(笑)。民間では運営を考えると実現できないものも、行政なら“必要がある”っていう理由でできることもあります。待っている人たちに本当に必要なサービスを届けられるって…まさしく、こういうことができるのを目指して、行政に入ったわけなので」。大喜多さんの顔は晴れやかだ。

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